
任意整理手続中になされる「引き直し計算」ですが、利息制限法と深く関係しています。
そもそも、「引き直し計算」とは、利息制限法に定められた金利で計算しなおし、過去に返済した過剰利息分を、元本へ充当する事です。

そうすることで、元本を減らすことができますし、場合によっては過払いが判明することもあります。

でも、そもそもなぜこのような問題が生じるのでしょうか。
これは、金利について規制する法律が3つあり(※利息制限法、貸金業法、出資法の3つです)、各法律が、各側面から個々に金利について規制しているからです。

(1) 利息制限法について
まず、利息制限法では、元本10万円未満の利息は年利20%、10万円以上100万円未満は年利18%、100万円以上は年利15%、と定められています。

これを超える利息は無効であり、支払う義務がありません(※これを超える利息を、業者が受け取った場合の罰則などは、利息制限法には規定されていません)。

なお、超過部分を利息として任意に支払った場合、その返還を請求することができない旨の規定がありましたが、現在では削除されています。
(2) 利息制限法と出資法について
まず、出資法では、20%を超える金利は違法とされ、これを超える金利で貸し付けた場合、出資法違反で刑事罰が課せられます。

実は、上限金利が20%になったのはつい最近(※2010年6月18日から)のことで、それまでは、29.2%でした。
そして、かつては、利息制限法で定められた15〜20%を超え、29.2%以内での金利(※グレーゾーン金利と言われていました)であれば、無効ではあるが違法ではないため、各消費者金融などはその金利で貸し付けていた訳です。

(3) 貸金業法と「みなし弁済」規定
各消費者金融が、グレーゾーン金利で貸し付けていた理由は、他にもあります。
かつては、貸金業法に、「みなし弁済」規定というものがありました。
すなわち、利息制限法に定める上限金利を越えていても、債務者が任意に利息を支払った場合(※利息制限法を超える利息は無効であることを知らずに支払った場合等は、任意性はありません)で、貸金業者が一定の書面(※法定の契約書や領収書)を交付した場合等は、有効な利息の債務の弁済とされていたのです。

でも、この規定は、2009年12月19日に廃止されています。

以上のような経緯があり、結局のところ、利息制限法の定める15〜20%を超える利息の支払は、無効であるため、元本の返済に充てたり、返還請求をすることができるわけです。
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